熱い。暑い。

気温も体温も上昇中。

これも全部君の所為だよ。







19cmの間







「よーし!じゃあ休憩だよ」



キャプテンの声でようやくの休憩。

ここ3時間、ぶっ通しで野球やってたから汗ダラダラ。

ついでに言うならユニフォームもべっちゃり。

でもまぁ、毎年のことだし、慣れだな。





そんな中、一人騒いでるのがいる。ド素人の猿。







「うがーーーっ!なんつー暑さなんだ!!死ぬーーー!」







ウザい。暑いのは皆同じだっての。これだから素人は…。







「猿野くん、何か飲んだらどうっすか?脱水症状起こすっすよ?」

「そーだな…このままじゃいつ倒れてもおかしくねぇ」







優しい慰めの声。

子津…。

あいつは凄い。この暑さで他人に構ってやるほど元気がある奴はいない。

にも関わらずあのバカにいらねぇ優しさ振りまいてやがる。

偽善とかじゃなくて、本能。

物好きな奴。



…でも、何で俺には何も言ってくれないんだ?

これでも一応俺とあいつは…ってこれは嫉妬か!?

やめよう。考えるだけ暑くなる。







それにしても何でこんなに暑いんだろう。









「それじゃあ、練習再開するよ〜」

「うぃーっす」







結局日陰で休むことなく練習が始まってしまった。

色々考えてたら10分の休憩もあっという間だ。



守備位置ごとの練習。

当然俺は投げ込みなんだが…順番が回ってくるまでしばらくかかりそうだ。

この待ってる時間が腹立つ。

やらねぇんなら日陰にいさせろっての。







「犬飼くん」

「………」

「犬飼くん!」

「…はっ!」







袖を引っ張られ、ようやく気づく。

子津が心配そうに見ている。







「どうかしたんすか?」

「とりあえず暑いな〜って…」

「確かに…この暑さはキツイっすよねぇ…。ボクも何だかクラクラしちゃって…」







火照っている子津の顔。

いつか倒れるんじゃないだろうか…。





「子津」

「はい?」

「こっち側来てろ」

「?」







子津は不思議そうに俺の左側に来る。

自分で自分に問いたくなる。

「何してんだ?」  って。でもこれが…。













「番が回ってくるまで、俺が日除けになってやるよ」













俺の精一杯の優しさ。

俺にしか出来ないこと。

19cmの成せる技。







「いいんすか?犬飼くんが暑いんじゃ…」

「別に…このくらい平気だ」

「そうっすか…?じゃあ、甘えさせてもらうっす」







僅かに触れている腕が熱い。

気温の暑さ何て忘れた。









この身体の熱は―――君がくれた熱。





相互LINK記念に頂いてしまいました!
犬飼の不器用な愛情に思わずほのぼのしてしまいます。
京菜様、ありがとうございました!!


back





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送